[台詞] 魔王(大野智/生田斗真)
EP.1
芹沢:落ち着いていられますか?罪のない人間が死んだんですよ。熊田さんには愛する奥さんも子供もいたんです。大切な家族を奪われた人の気持ちがあなたにはわからないんですか。
成瀬:それは熊田さんに限りません。罪があってもなくても、豊かでも貧しくても、人は誰かにとって大切な存在です。私も、あなたも。
EP.2
芹沢父:あなたのお噂は聞いてますよ。天使の弁護士でしたか?
成瀬:マスコミが勝手にそう言っているだけです。場合によっては、私だって悪魔になりますよ。
EP.2 成瀬 --> 芹沢
成瀬:思い出はかけがえのないものです。大切になさってください。
EP.2
成瀬:僕も両親がいません。父親は小さい頃に亡くなって、母も高校の頃に…。でも寂しくはありません。夏が来て、百合の花が咲くたびに母のことを思い出せますから。
しおり:そうなんですか、すいません
成瀬:謝る必要はありませんよ。僕は悲しい思い出から目を逸らしたりはしませんから。
しおり:強い人なんですね、成瀬さんって。
成瀬:いえ、そんな…
EP.2 成瀬 --> 芹沢
成瀬:素敵なお父様ですね。誠実、という言葉がぴったりです。
EP.2 成瀬 --> 芹沢
成瀬:疲労は判断を誤らせる原因です。たまにはゆっくり休んでください。
でないと、本当に大事なことを見落としてしまうかもしれませんよ。
EP.2
成瀬:近くを通りかかったら、しおりさんの姿が見えたので。
しおり:今日は教会のチャリティーバザーなんです。
成瀬:お手伝いしてもいいですか?
しおり:え?いいですけど、お仕事いいんですか?
成瀬:ええ、今日はもうやることがないんです。夕べのうちに、全て済ませておきましたから。
EP.2 教会にて
成瀬:百合の花言葉を知っていますか?
しおり:え?
成瀬:純潔、無垢…聖母マリアの象徴です。
ーーーー
成瀬:どうしたの?迷子?
空:うん
成瀬:もう大丈夫だからね。大丈夫だよ。
EP.3 空を送り届ける成瀬としおり
成瀬:遊園地は面白かった?
空:うん。オバケのお城に魔法使いがいたよ。
成瀬:お兄ちゃんもお姉ちゃんも、魔法使いなんだよ。
空:本当に?
成瀬:うん。だから必ず、お母さんに会わせてあげるよ。
空:うん!
しおり:良かったね
EP.3
しおり:あの曲、over the rainbow、私も大好きです
成瀬:嬉しいです。僕の一番好きな曲ですから。
EP.3
芹沢:新谷たえに石本が殺されました。
成瀬:え?あのお友達の?
芹沢:はい。
成瀬:それはお悔やみ申し上げます。人生これからというときに、命を奪われるとは…さぞかし無念だったでしょう。
芹沢:ええ、俺は犯人を絶対に許しません。石本を殺した奴らは、必ず俺がこの手で捕まえてみせます。
(成瀬、しおりさんを見つめる)
EP.3 成瀬 --> 芹沢
成瀬:あなたは、石本さんの全てを知っていると言えるんですか?誰にでも裏の顔はあるものでしょう?
EP.3
成瀬:私はただ、真実を証明しただけです。
芹沢:そんなものは真実じゃない!彼女を操っていた奴がまだ捕まっていません。そいつを捕まえて初めて真実がわかるんです!
成瀬:なら、捕まえてください。それが警察の仕事じゃないんですか?私たちに当たっても何も解決しませんよ。
芹沢:なんだその言い草は?ふたりも人が殺されてんだぞ!依頼人の利益さえ守ればいいんですか?それがあんたの正義ですか?
成瀬:じゃあ、あなたの正義はなんですか?正義の捉え方は、人それぞれです。
EP.3 成瀬 --> しおり
成瀬:あなたが悪魔なら、世界中、悪魔で溢れてますよ。
僕にはわかります。悪魔は、別のところにいるんです。
EP.4 石本火葬場にて芹沢に
成瀬:心からお悔やみ申し上げます。大切な人を失う辛さ、私にも分かります。
EP.4 しおりが働く図書館にて
芹沢:英雄は俺がイジメてた奴を守ろうとしたんです。それなのに、俺は都合よく、頑張って精一杯、誠実に生きようとすれば、正しく生きようとすれば、神様は、許してくれるんじゃないかって思ってました。でも…今は分かりません。俺が、本当に生きていいのか、どうすればいいのか…。遅くにすいません。あなたには、隠し事はしたくなかったので。
しおり:生きなきゃいけないんです。死んで良い人間なんているわけないじゃないですか。全力で生きてください。刑事さんを想う人たちのために。
EP.4
・成瀬が空ちゃんに本を朗読してあげる場面(名場面!)
・空に山野を見せて確認させるシーン(空、と呼び捨てする成瀬)(名場面!)
EP.4 しおりとカフェから帰る道にて
成瀬:やましい気持ちがあればあるほど、迷いは生じてしまうものです。
EP.5 山野との密会シーン
成瀬:これからですよ。まだ、地獄の門をくぐっただけです。
山野:僕は次に何をすれば?
成瀬:とりあえず、次の指示を待ってください。
山野:もう少し教えてくださいよ。僕だって仲間じゃないですか?
成瀬:知らないことで救われることもあるんですよ。それでも知りたいですか?
山野:いいえ
EP.5 空に泣きつかれ、動揺する成瀬(名場面!)
EP.5
成瀬:しおりさんは、怖くないんですか?殺人事件に関わっているということは…
しおり:怖いです、でも、その人を止めたいんです。その人もきっと辛いから。自分がこれ以上犠牲者を出さないように、止めてほしいんだと思います。
成瀬:何故、そうだと?
しおり:この絵本のお兄さん、トンネルの中でずっと妹が来るのを待ってたじゃないですか?その人も、暗いトンネルの中でもがいてるんじゃないかって。きっと、誰かに救ってほしいんだと思います。私にできるかはわからないですけど。その人のために、止めてあげたいんです。だから、犯人からのメッセージを読み解いてあげないと。
EP.5 しおりさんが過労で倒れ、触れようとするが触れられないシーン(名場面!)
成瀬:もう…止められないんだ
EP.5 芹沢から寝込むしおりに電話がかかってくる
成瀬:(しおりに掛かってきた芹沢からの電話を取り)はい、成瀬です。
芹沢:え、ど、どうしてあなたが?
成瀬:今寝ているので代わりに取りました。
芹沢:どういうことです?
成瀬:そのままの意味です。また掛けてください。では。
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成瀬:大丈夫ですか?
しおり:はい、すいませんでした。
成瀬:お疲れなんですね。もう少し休まれたらどうです?
しおり:いえ、でも…
成瀬:僕も…もう少し仕事をサボりたいので。
しおり:冗談も言うんですね。
EP.5
成瀬:(お店に帰ろうとするしおりに)しおりさん、
(声をうまく掛けられず)…おやすみなさい。
EP.5 成瀬と芹沢でバーで飲んでいるシーン
成瀬:諦めないでください。最後まで、絶対に。
どうか、犯人に早くたどり着いてください。
EP.6
芹沢:あの…どうしてこの一連の事件には、必ずあなたが関わってくるんでしょうか?林と石本の弁護、空ちゃんを保護したのもあなたです。それに、赤い封筒まで届いた。
成瀬:芹沢さんは、なぜだと思われますか?
芹沢:この事件に偶然はありません。きっと、あなたも何か意味があって…
成瀬:私も同じ考えです。復讐、芹沢さんも、今回の事件が11年前の殺人事件の復讐だとお考えなのでは?失礼しました、殺人事件ではなかったですね。
芹沢:いえ…でも、どうしてそれを成瀬さんが?
成瀬:池畑さんという記者の方から聞きました。私がお父様の顧問弁護士を辞退するよう色々情報を吹き込んでくるんです。調べてください。どうして私がこの事件に巻き込まれているかを。私も知りたいですから。
芹沢:何か理由があって巻き込まれているなら、犯人は、あなたの周辺にいる可能性があります。誰か心当たりありませんか?
成瀬:11年前の事件の真実を知っているのは、あなただけです。つまり、一番犯人に近い人物は、あなたなのでは?
EP.6 事務所に来てくれたしおりさんを追いかけようとする成瀬だが…
成瀬:僕に、人を愛する資格なんて…
EP.7 姉の病室
姉:領、日が暮れるね。私の目でも、夜が少しずつ近づいてるのは分かるの。少しずつ、今日が終わっていく。明日も、その次の日も、こうやって少しずつ私は、死に近づいていく。昔はね、死ぬことなんて、怖くなかった。両親はいない。弟とも離れ離れ。友達は毎日楽しいことがいっぱいなのに、私は病室に閉じこもって、何も見えないまま独りぼっち。どうせ、助かる見込みがないんだもん。いつ死んでもいいって思ってた。生きてて良かったなんて思ったこと、一度もなかった。でもね、領。
領:何?
姉:私には、あなたがいてくれた。この10年、あなたが週に1度来てくれるのが待ち遠しかった。あなたの話を聞けることが、嬉しかった。あなたが持ってきてくれるお花が、いい香りをさせてるだけで、暖かい気持ちになれたの。そして、もっと、生きていたいって思った。生きてれば、こんなに幸せな時間が私にもあるんだって。ひとりっきりじゃない、私には、領がいるんだって思うだけで、もっと生きたいって思ったの。あなたは、私の希望だった。
領:ごめん、ずっと…
姉:いいの。ずっと前からわかってた。あなたが本当に優しかったから、あなたは、私を本当の姉としていつも気遣ってくれた。精一杯、領でいようとしてくれた。男の子が泣いちゃだめでしょ?領は小さい頃から泣き虫なんだから。
領:ごめん…
姉:これ、警察が、何を調べてるのかは聞かない。あなたが何をしようとしてるのかも。だって、あなたを信じてるから。亡くなった領が信じたように。
(池畑から届いたCDを領に渡す姉)
姉:あ~あ、さっきの、友達から貰ったお気に入り(のCD)だったのになあ。
きっと、あなたの目には、綺麗な夕日が映ってるんでしょうね。私のことなら大丈夫。もう、ひとりでも生きていける。
(病室を出ようとする領)
姉:領、お誕生日おめでとう
領:ありがとう、姉さん…
姉:さよなら、領…
EP.7 山野との密会で苦悩する成瀬
成瀬:時々わからなくなる。自分が誰で、なぜ生きているのか…大切な人を欺いてまで。
EP.7 領の誕生日会のあと
成瀬:僕は天使なんかじゃありませんよ。…じゃあ
しおり:何を悩んでるのか分からないですけど、力になれることがあったら言ってください。神父様から聞いたことがあるんです。天使とは、美しい花を与えるものではなく、悩んでいる人のために努める者のことだって。私じゃ、成瀬さんの天使にはなれませんか?
EP.8 花火大会に遅れてきた領
成瀬:しおりさん!
しおり:成瀬さん
成瀬:本当にすいません。急な接見が入って連絡もできませんでした。
しおり:そうだったんですか、良かった…来てくれて。花火、終わっちゃいましたね。
成瀬:まだ…お時間大丈夫ですか?
しおり:は~あ、これが最後か…
EP.8
しおり:今日は、すっごく楽しかったです。
成瀬:僕もです。こんなに楽しかったのは…最後に良い思い出ができました。
しおり:…え?
成瀬:会うのは、これが最後です。
しおり:どうしてですか?
成瀬:そう決めてきたんです。傘、ありがとうございました。
EP.9 成瀬=真中友雄と気付き
成瀬:人殺しは…私ではなくあなたです。真中英雄の、そして彼の家族の人生までも、あなたが一瞬にして奪ったんです。大切な人を、無残に失った悲しみ、今のあなたならわかるはずです。
芹沢:だからって…だからって人を殺していいはずないだろ!どれだけ他人を巻き込めば気が済むんだ。なんで俺じゃないんだよ?あんたの目的は俺だろ?やるんだったら俺を殺せ!
成瀬:私が真犯人だとおっしゃるなら、確実な証拠を持ってきてください。
芹沢:これ以上犠牲者は出させない。あんたは、俺が必ず捕まえてみせる。
成瀬:あなたの無念さは、よくわかります。だから、早く私を捕まえてください。
EP.9 芹沢の写真を見ながら
成瀬:やっと…会えましたね。
EP.9
芹沢:悪いのは…俺です。全部俺が悪いんです。もう、俺以外の人間を苦しめないでください。お願いします!葛西を…葛西を助けてやりたいんです。俺はどうすれば、どうすればアイツを救ってやれるんですか?
成瀬:いいんですか?真実が、あなたの胸を貫くことになっても…
芹沢:構いません。それでアイツが救えるなら…
成瀬:人は…大切な誰かをかばうとき、真実を隠すものです。それを一番わかっているのは、あなたのはずでは?楽しみですね、あなたが真実を知ったとき、どんな選択をするのか?
EP.9 しおりさんが事務所に訪れる
しおり:気が付きませんでした。私に傘を貸してくれた男の子の後ろ姿が、成瀬さんに似てることに…あのときの同じ悲しそうな背中だったのに、ごめんなさい。私がもっと早く気付いていたら…
成瀬:なんのことですか?
しおり:もうやめてください、友雄さん。あなたは本当は優しい人です。11年前、私に傘を貸してくれた時の優しい笑顔は今も変わっていません。
成瀬:あの頃の僕は、もういないんです。もう、止められないんだ…
EP.9 成瀬、自宅でオルゴールを聞きながら
成瀬:もうすぐ…すべて終わるよ
EP.10 マリさんが葛西のために証言したことを告げたことを伝えるシーン
成瀬:わかってあげてください、彼女はあなたのために、全てを失う覚悟で証言したんです。彼女が望んでいることは、あなたが救われることです。
回想しおり:(私じゃ、成瀬さんの天使にはなれませんか…?もうやめてください、友雄さん…)
成瀬:彼女を大切に思うなら、その気持ちを分かってあげてください…
EP.10 署内にて
芹沢:すべてあなたの思い通りに進んでいます。これで満足ですか?おかしいんです。あなたを心底憎もうとすると、英雄とあなたのお母さんのことが浮かんでくる。
あなたを捕まえることを考えると、やりきれない気持ちになるんです。あなたを通して、俺を見ているようで…。あなたは、俺と同じ顔をしている。自分の罪に苦しみ、もがき、後悔してもしきれない、そんな顔をしています。
成瀬:一緒にしないでください。
芹沢:真中友雄さん!すみませんでした!あなたに…ずっと謝りたかったんです、11年前のあの日から…ずっと…あの事件のあと、俺は家を訪ねていったんです。でも、もう引き払っていて、死んで、死んで償うことも考えました。でも、ここまで生きてきてしまいました。刑事になって、悪い奴らを捕まえて、人の役に立てていれば、許されるような気がしていたんです。でも,,,それは間違っていました、あなたをこんな目に合わせたのも、全部俺の責任です。だから、何でも、あなたの望むようにします。死ねというなら、ここで死にます!
成瀬:やめてください!今更何を言われても結末は変わりません。
芹沢:あなたは、俺をどうしたいんですか?
成瀬:答えはもう、すぐそこまで来ています。
EP.10 成瀬と山野の密会シーン
成瀬:あなたは十分償いました。これが、最後の仕事です。
EP.10 芹沢父との会合シーン
成瀬:この11年、芹沢家のことだけを考えて生きてきました。ありがとうございました、変わらず元気でいてくださって…落ちぶれることもなく、他人を犠牲にして…
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成瀬:私の母親も、あなたと同じように、息子たちを愛していました。でもあなたは、愛する息子を奪われた母を、更に傷つけ、踏みにじった。自分がどれだけ、他人を苦しめたのか、考えたことがありますか?私はあなたを許さない。
EP.10 兄を逮捕するシーン
芹沢:人が過去を忘れても、過去は決して人を忘れない。
EP.10 教会で偶然しおりに会ってしまうシーン
しおり:成瀬さん…本当は迷ってるんじゃないですか?暗いトンネルの奥で、戸惑ってるんじゃないですか?勇気を出して、出てきてください。どんなに苦しくても、やりきれなくても、暗いトンネルの中から出てきてください
成瀬:もう…戻ることはできない。
しおり:もうやめて…あなたを想うと辛いんです。成瀬さんを想うと、胸が苦しくなるんです。あんなに優しく笑う成瀬さんが、こんな恐ろしいこと…
成瀬:これが、僕の本当の姿です。
しおり:そんなはずない!本当のあなたは、真中友雄さんは、弟さんを想う優しい人です。
成瀬:僕は、真中友雄ではありませんよ、名前も過去もすべて捨てたんです。英雄が死んだときから…
しおり:自分を捨てないでください。なんで自分を愛してあげないんですか?なんでそんなに自分を傷つけるんですか?あなたは、みんなに愛されるべき人なんです!お願いします。もう自分を苦しめないでください。
成瀬:僕には、愛なんて必要ない…
EP.11 しおりさんと成瀬
しおり:怖いんです。成瀬さんが心配で、あなたに何か起こりそうで…もうやめてください。なぜ暗いトンネルに進もうとするんですか?少しで良いんです、顔を上げてみてください。綺麗な木漏れ日が見えませんか?木々のざわめきが聞こえませんか?春にはかわいいお花が咲くんです。秋には紅葉が包んでくれるし、冬は落ち葉の絨毯ができます。雨が降ったあとには、大きな虹がかかることもあるんです。成瀬さんが進もうとする道には、こんな幸せな景色がありますか?
EP.11 葛西に一時釈放されることを告げるとき
成瀬:少しの間だけでも、愛する人を大事にしてあげてください。
EP.11
山野:どうして葛西を釈放したんですか!
成瀬:彼はもう…十分苦しみました
山野:まだ十分じゃない!あいつも僕をいじめてたひとりなんですよ
成瀬:あなたは…誰のために復讐しているんですか?
山野:もちろん、英雄です
成瀬:だったら…
山野:もういい!もうあなたには頼らない…僕がこの手で仕留めます
成瀬:何をするつもりですか?
山野:うるさい!
成瀬:やめてください、そんなことしたら、英雄があなたを止めた意味がなくなる。
(回想シーン「あんな奴らのために、ダメになるお前なんかみたくない!」)
成瀬:バカなことはやめてください
(成瀬、山野に刺される)
山野:あんたのせいだぞ、僕の邪魔をするから…
成瀬:もう、やめるんだ…
山野:うるさい!
EP.11 成瀬からしおりに宛てた手紙
僕はあの日からずっと、ひとりきりで生きてきました。
信頼とか絆とか、そんなものは一切捨ててきたつもりだったんです。
愛情や、人を想う気持ちさえも。
でも、そうではなかった。あなたはいつも、僕を見ていてくれた。
あなたの温かな想いが、僕の心の冷たい棘を優しく溶かしてくれるような気がした。
一番大切なものを置き去りにしようとしていた僕に、
その無粋さを教えてくれたのは、あなたでした。
今までの過ちを捨て、新たな未来を、あなたと一緒に生きていけたら…
あなたを近くに感じる度に、何度そう夢見たかわかりません。
でも、僕はもう、後戻りすることはできません。
あとひとり、どうしても死ななくてはならない人間がいます。
しおりさん、申し訳ありません。そして、今までありがとう。
EP.11 芹沢に会いに行く道中
成瀬:今、死ぬわけにはいかないんだ…
EP.11 最後の対決
成瀬:何を迷っているんです?憎くないんですか?あなたは、たったひとりの父親と優しいお兄さんを奪われた。そして、かけがえのない親友まで殺されたんだ。殺しても、飽き足らないほど憎いはずだ。違うか?法律では、僕を裁けない。復讐のチャンスは今しかないんだ。早く殺せ!
芹沢:あんたの目的は、これだったのか。俺に自分を殺させることだったのか。罪を逃れた俺に、今度こそ人を殺した裁きを受けさせるために、自分の命を犠牲にしてまで…
成瀬:あなたは、まだ分からないんですか?僕の人生に、失うものなんて、とうになかったんだ。英雄と、母が死んでから…これで、全部終わる。ようやく、僕が僕に帰るときがくるんだ。さあ、撃ってください。これは、真実から逃げた、あなたの義務なんです。
芹沢:やめろ
成瀬:終わらせるんだ
芹沢:やめてくれ…
成瀬:僕を撃て、それがあなたの役目だ!僕を殺せ!
芹沢:出来ない…あなたをそこまで苦しめたのは、俺だ。俺には…俺にはあなたを殺せない。
成瀬:終わらせるんだ。このまま生きていたら、僕は自分を許せない。
芹沢:やめろ
成瀬:終わらせるんだ、もう終わらせるんだ、僕を殺してくれ!
(銃声)
成瀬:おい、しっかりしろ、おい、しっかりしろ!
芹沢:こ、これでよかったんだ、最初から、こうしていれば…生きてください…精一杯、自分のために…生きて…ください…友雄さん。許してください、俺のことも、あなた自身も……
成瀬:しっかりしろ…目を開けてくれ…おい、死ぬな…死ぬな芹沢…死ぬな!死ぬな……死ぬな芹沢…死ぬな……
成瀬:許してくれ……僕のことも、あなたのことも……
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